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104(ソンキャトル)顛末記

年が明けるまでには、これは書かなくてはいけないと思いながらも、いろいろと衝撃的すぎたのでどうしていいかわからず、今日までほっといたことがあります。

秋のパリへの旅行で、104(ソンキャトル)というところへ行ってきました。

104は、2008年10月にパリ市内にオープンした、総合芸術施設です。
解りやすい記事がOVNIにありました。→こちら

補足すると、104はアーティスト・イン・レジデンスという、選抜されたアーティストが一定の期間製作に専念できる場所や状態(環境?)をあたえられ、わりとそれはオープンなので、私たちがアーティストと出会ったりすることもできる(=アーティストとしてはパトロンを探すとか、パトロンが発掘するとか)方式をとっています。
日本でも、たとえばちょっと前まで横浜でbankARTというところがこの方式をとっていました。

実際に、アーティストに会える!!しかも、「今」の作品がみられる!!
確かに、どーんと大きい賞とって、有名な美術館に作品が・・・とかいうアーティストよりも今が伸びしろ、これからだー!というアーティストがステップアップを狙って応募してきて通過して、というほうが多いので、作品のレベルとかにばらつきもあるのですが、でも、すごくおもしろいシステムですよね。

で、行ってみようということになったんです。
カレンダーをみたら、ぽっかりと私たちが行く期間だけほぼなにもエクスポジションが行なわれていないことに一抹の不安を抱きつつ。

駅から、地図を見ながら(ほんとに合ってるのかな・・・こっちで・・・)と不安になるほど歩いてたどり着きました。
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おぉ、あった!!なかなかかっこいい!!

しかし、

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誰もいない。
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休みじゃ、ないんですよ。


あああーーーーーまさかまさかのーーー!!と思いながらも、開いているところを探して(入場料が必要なところもあった)ぽつぽつと作品をみていきました。

とにかく広いので、ほんとに恵まれた環境。
しかも、なにもない故にまっさらな舞台のようなもので、あらゆる可能性の作品展示やパフォーマンスができそうな感じ。

そして、あるアトリエに入りました。
アーティストは残念ながら不在でしたが、お留守番のお兄さんがいました。
「何人?」
「日本人」
「フランス語、わかる?」
「ほんのちょっと」
「・・・・・・・・ちょっとまってて」
呼んできたのは、友達らしいお姉さん。
「彼女は、こないだ日本に行ってきたんだよ」
「へえ~日本語、わかるんですか?」
「いいえ」
「(えっ?!じゃぁ何のために呼んだの・・・)へ、へえ・・・日本は、どちらに行ったんですか?」
「京都はすばらしかったわ~。あと安全な国よね。地下鉄とか、みんなバカみたいな感じでへらっへらしてんのにスリにもあわないし」
「(若干馬鹿にされてる気がする)まぁ、そうですね」
「彼女は、英語が話せるからじゃぁフランス語と英語でプロジェクトの説明を・・・」

だけど、お姉さん、ほんっとにただの友達だったようで、お姉さんが全然プロジェクトを理解していないがために話が進まない。まだ私がお兄さんのフランス語で聞くほうがわかった(と思う)ので、友達にお兄さんの話してることをなんとか訳していると
「フランス語、結構解るんじゃん(←おにいさん)」
「あ、ありがとう」
「日本人は、解らなくてもわかったふりをするもんなのよ(←おねえさん)」
「日本人は、解らなくても「あーあー」ってわかったふりをするってー」
「えー(苦笑←友)」
なんだか、私たちというか日本人をバカにしてるおねえさん。
うう、もっとフランス語が出来たら文句のひとつも言ってやるのに、「わかってるよ、私」というのが精一杯だった。うう。

そんなこんなでプロジェクトの説明を聞いたところ、必要なくなった古い鍵をもっていくと、104のロゴがついた新しい鍵をくれる。古い鍵はアクリルの中に埋められ、さらに104の近くの道のどこかに埋められる。「確かに存在していた場所の証」とか言ってた気がする・・・。
私たちは当然のことながら鍵をもっていなかったので、おにいさんが「じゃあ君たちの鍵をつくってあげよう」と言って、ほんとは104のロゴを入れる新しい鍵に切込みを入れて私たちの鍵をつくってくれた。

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写真を撮って、どんな鍵だったか記憶したら、その鍵を「17」と書かれている箱の中に入れて(一箱が1パネルになるらしい)「ここのどっかに○月△日から埋まるから(←忘れたけど、結構近い日にちだった)、探してね。いつ帰るの?」「明日・・・」「えー!」「来年、がんばります・・・」
絶対無理だと思うけど。リストなくしたし(笑)

パリにいる方、この鍵、さがしてください(笑)。

それにしてもおにいさんはほんっとにまるっきり英語もだめだったようで、「17=セブンティーン」が言えなかった。フランス人だからフランス語は当たり前なんだけど、なんとなくアルファベットを使ってるんだから欧米の顔のひとたちはみんな英語実は話せるんでしょ?と思っていた私は衝撃をうける。同時に「お互いがんばろう!」と握手したくなった(笑・しなかったけど)。

そんなこんなでアトリエを出る(あのおねえさん絶対日本人馬鹿にしてるよね!マギュホーって、まぐろだってちゃんと言えないくせに!!と出てから言えなかった文句噴出)と、黒い服を着たスタッフのお姉さんに声をかけられた。
「もし、あなたたちがよければでいいんだけれど、これから、104が出来るまでビデオや写真をとっていたアーティストのお部屋にいくの。一緒に行きたいなら連れて行ってあげるわ」
実は1回で聞き取れなくて、「すみません、もうすこしゆっくり話してもらえますか?」と言ったら
「じ ゅー  ぶーーー ぶぅーーーーー」とものすごくゆっくりになってしまい、自分でお願いして置きながら笑ってしまった。おねえさんごめんなさい。
「何分くらいかかるの?」
「あなたたちがいたいだけでいいのよ、5分でも、30分でも、1時間でも」
「フランス語、こんな感じでしかわかんないんですけど」
「でも、彼女は英語も・・・スペイン語もできるから大丈夫よ!」

どうして、どっからどうみてもアジアな私に、スペイン語も出来るから大丈夫だというのか不明。

でも、「じゃ、おねがいします」とくっついていってしまった(!!)
他には年配の夫婦がひとくみと、もう一組カップルが。

階段をのぼっているとき、夫婦の奥さんのほうが「まあ、外に花を植えているのね」と言ったら「そうなんです。花の壁のようにしたくて、いろいろな種類の植物を植えています。日当たりが悪くて、ムラもあるので、鏡をつるして日光が満遍なく当るように工夫をしています」と言っていたけど、それって効果あるんだろうか・・・。日本でお庭で鏡くるくるっていったら、ネコよけだけど・・・と思ったけど、やっぱりそれも言えなかった(修行しよう)。

小学校の教室よりも少し大きいかなぁくらいのお部屋に入り、ぱたん、と扉がしまったところで、アーティストの女性が立ち上がり、こういいました。

「私からは特に話すことはありません。そこに今までの作品集やレジュメがあるので、それを見て質問があったらおっしゃってください。お答えします」

「だってけど・・・ないよね・・・・(小声←私)」
「ないよね・・・・・(小声←友)」

しかも、連れてきてくれたお姉さんとアーティストの女性があきらかに私たちのことでもめている(笑)「あのこっち、なに?」「来たいっていうのでー。終わったら呼んでください」「いやよ!ここにいてよ!言葉はわかるの?」「英語もちょっとわかるって言ってますけどー」「そう、なんで来たの?」・・・・こんなかんじ・・・。

その間耳をそばだてつつ作品を見たけれどやっぱり聞くこともないので、「帰ろう・・・早く帰ろう・・・」と、おねえさんのところに行き「ごめんなさい、やっぱり時間がもうなくて・・・(明らかに嘘)」と言って、私たちだけはやく帰らせてもらった。

おねえさんごめんなさい。

またまたそんなこんなでアトリエを出て、声をかけられないようにきをつけつつ(笑)館内散策。

なんにも、できてないんですよ。

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ここには「庭」が出来る予定らしい。まだ、バケツやら植えられるらしい植物やらがどーーーっとおいてあるだけ。

ちなみに
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ここには、カフェができるらしい(笑)レストランは、2009年春オープン!!と書いてあった。

何故、オープンしたんだろう・・・?という疑問すらわいてくるできてなさっぷり。
しかも、あれだけ日本語がダメな環境にあるにもかかわらず、なぜかトイレには「化粧室」と表記があった。一体何故。本当に何故。一応日本人も呼ぼうってターゲットに入っているのだろうか。
2年後くらいには、楽しい場所になっているかもしれません(笑)
どういうふうに変化していくのか、楽しみでもあります。

ただ、また行くときには、もっとフランス語を勉強して、言いたいことがもっと言えるようになっていたいと思います。

104、オススメです(笑)。
by bonjourhappy | 2008-12-30 00:10 | 旅行

お花を活けたりコーヒーを入れたり文章を書いたり雑貨を作ったり、いろんな、でも全部好きな仕事をしている人の日常。何もなかったり大わらわだったり。


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